谷戸沢処分場内では、夏にカヤネズミが作る球巣(きゅうそう)が確認されています。しかし、カヤネズミの冬の生態はよくわからず、どのような生活をしているかは未解明な部分が多くありました。
今回、そのカヤネズミが冬に地表近くに作る「地表巣(ちひょうそう)」が見つかりました。その地表巣を利用するカヤネズミの姿が、初めて撮影できました。
昨年末、麻布大学いのちの博物館の高槻先生の調査によって、冬にカヤネズミが生活する「地表巣」が処分場内で確認することができました。これがカヤネズミのものであることはほぼ確実かと思われていましたが、今回初めて、この地表巣を利用している姿も撮影されたことで、カヤネズミは冬の間、地表巣を利用するということがわかりました。
カヤネズミが利用する地表巣の確認がされたことで、今後、カヤネズミの生態について、さらに多くのことが明らかになってくると思われます。
谷戸沢処分場では順調な自然回復が進み、昨年は場内でフクロウのヒナが巣立つほどの豊かな自然環境が戻っています。循環組合は、今後とも適切な維持管理を行い、豊かな自然環境の創出に努めてまいります。
谷戸沢処分場内では生態系の頂点ともいえる「フクロウ」が営巣し、2016年の春には2羽のヒナが巣立っていきました。フクロウはネズミを食べる猛禽類で、このヒナが育つためには、多くのエサが必要です。フクロウが営巣し、ヒナが巣立ったことは、その生息地にカヤネズミのような小さな生き物たちが豊富に暮らすようになっていることを示しています。
谷戸沢処分場には茅場(ススキ群落)が復活し、かつての武蔵野の面影を見ることができます。その中で生活する「カヤネズミ」たちの夏場の球巣は、これまでも確認されていますが、冬の姿は未解明の部分が多くありました。今回の調査でカヤネズミが冬に作る地表巣と、それを利用するカヤネズミの姿が確認され、今後のカヤネズミの生態解明がさらに進むことが期待されます。
ごみの埋立てが終了した最終処分場で、こうした生き物のつながりが復活し、それが調べられていることは、とても有意義なことです。最終処分場の跡地利用のあり方としても各地で参考にしてもらえればと思います。