平成15年度 二ツ塚処分場の水質等調査結果について(概要)

平成15年度 二ツ塚処分場の水質等調査結果について(概要)

東京都三多摩地域廃棄物広域処分組合

平成15年度に二ツ塚処分場関連で水質や発生ガス等について実施した調査結果の概要である。
 問題となるような結果はなく、安全性が改めて確認された。

水質の調査結果

平成15年度から、鉛、ひ素について、低い濃度もより正確に把握するため、下限値を0.005 mg/Lから0.001 mg/Lに引き下げ水質分析を実施している。

1.浸出水原水(ごみの層を通った水)

鉛とひ素については、検出下限値を引き下げたため、検出される月が多くなったが、検出された値は公害防止協定(以下「協定等」という)の基準値以下であり、その他の有害性重金属等は検出されず、特段の問題はなかった。

2.下水道放流水(浸出水を処理した後、下水道に放流している水)

カドミウムが3月に0.002 mg/L検出されたが、協定等の基準を十分満たしている。その他の有害性重金属やPCBは検出されないとともに、窒素などはいずれも下水道へ放流するための基準を十分満足した。

3.防災調整池(埋立地外の雨水を集め、一時的に貯めている防災用の池)

水素イオン濃度(pH)が6月(8.9)及び8月(8.7)に、生物化学的酸素要求量(BOD)が1月(2.4 mg/L)に、浮遊物質量(SS)が10月(30 mg/L)に、また大腸菌群数が6月(4900MPN/100mL)、9月(13000MPN/100mL)、11月(1300MPN/100mL)に準用基準値を超えた。これは、処分場内及び防災調整池での生物の活動等によるものと考えられる。なお防災調整池水については、濁水処理プラントで処理を行い、公共用水域へ放流をしている。

4.地下水集排水管水(埋立地内の地下水)

ひ素については、検出下限値を引き下げたため、年度を通じ0.002~0.007 mg/Lの範囲で検出されたが、協定等の基準値(0.01mg/L:地下水の環境基準を準用)未満であり問題はなかった。その他のカドミウムなどの有害性重金属は検出されず、準用している地下水環境基準を満足した。
塩化物イオン(この基準値はない。処分場からの影響をみるひとつの指標)は、3月に13.3 mg/Lと10 mg/Lを超えているが、雨が少なかったための一時的なものと思われる。その他の月では、平成14年度と比較して、大きな変化はない。

地下水集排水管の電気伝導率の推移

5.モニタリング井戸(処分場内6本と処分場周辺の4本の井戸)

すべての井戸で、地下水の準用している水質環境基準を満足した。
今年度から、鉛、ひ素について、低い濃度もより正確に把握するため、下限値を0.005 mg/Lから0.001 mg/Lに引き下げ水質分析を実施している。
このため、ひ素は、No.2、No.4、No.5、No.6、No.10の井戸で検出されているが、地下水の水質環境基準(0.01 mg/L)を十分下回っていた。
また、鉛は井戸No.9で11月に0.001 mg/L、また、No.10の井戸では年度を通して検出されているが、年平均値で評価する水質環境基準(0.01 mg/L)は下回っていた。(なお、井戸No.10は過去にも鉛が検出された経緯がある。)
また、硝酸性窒素、亜硝酸性窒素、ふっ素及びほう素が検出されたが、地下水環境基準を十分下回るものであった。

処分場下流部のモニタリング井戸No.6及びNo.7では、塩化物イオン(基準値はない。処分場からの影響をみるひとつの指標)が、10 mg/Lを超える月がある。これは平成14年度の冬期(平成14年12月)及び平成15年度の冬期(平成15年12月)に、近接する秋川街道に散布された凍結防止剤(塩化カルシウム)の影響と考えられる。また、井戸No.3において10mg/Lを超えているが、この井戸は埋立前(平成8年2月)にも10 mg/Lまで上昇した経緯があり、従来から、他の井戸から比べても比較的塩素イオン濃度が高い井戸である。また、イオンバランスのダイヤグラムから判断すると、処分場の影響が出ているものではない。今後の推移を注意深く見守っていく。
その他の井戸については、埋立開始前と同じレベルであり、これらの井戸には埋立による影響はないと考えられる。

場内モニタリング井戸の塩化物イオン濃度の推移

発生ガス、大気等水質以外の調査結果
1.凝集沈殿汚泥溶出試験(浸出水処理施設で発生する汚泥の溶出試験

平成15年度については、鉛及びひ素が検出されたが微量であり準用基準値を十分に下回っている。その他の有害性重金属については、いずれも検出されなかった。

2.発生ガス(埋立地内のガス抜管から採取したガス)及び悪臭調査

発生ガスでは、アンモニアが微量検出されたほかは、大気の組成に近く、埋立地特有の、メタン及び二酸化炭素の発生はわずかに見られる程度である。
悪臭調査については、敷地境界でアンモニア、硫化水素、アセトアルデヒド、トルエン及びプロピオン酸が微量検出されたが、公害防止協定の準用基準を大きく下回っている。また、臭気指数は、敷地境界の2地点で、何れも定量下限値未満であり公害防止協定の準用基準を遵守している。

3.土壌粒子飛散

土壌粒子飛散はすべて公害防止協定の準用基準内であった。

4.騒音・振動

機械稼動による騒音については、No.1の地点で準用基準値を超えたが、主音源は、秋川街道の車両走行音及び川を流れる水の音であった。
道路交通による騒音は、全時間帯で準用基準を超過していた。しかし、処分場関係車両が通行しない早朝や夜間においても基準を超過していること、搬入車両の通行時間帯(8:00~16:00)とその前後の騒音レベルがほぼ同じことから、処分場関係車両はほとんど寄与していないと考えられる。
振動はいずれも基準以下であり、人が感じない50dB以下であった。

6.底質(川や池等の水底にある泥などの堆積物)・土壌

底質については、溶出試験では8月にひ素が検出されたが、公害防止協定の基準値を十分下回っていた。含有(銅)試験では、8月、2月に銅が微量検出されたが、公害防止協定の基準値を大きく下回っていた。ふっ素及びほう素についても検出されたが、公害防止協定の基準値を十分下回っていた。
土壌については、溶出試験では2地点とも鉛が検出されたが、公害防止協定の基準値を下回るものであった。また含有試験で銅が微量検出されたが、公害防止協定の基準値を大きく下回っていた。


以上、処分場内や周辺の水質、大気等の数多くの調査結果から、問題となるような結果はなく、周辺環境に影響を及ぼしていないことが確認された。

なお、検出されないとは、それぞれの化学物質ごとの定量下限値(数値を量ることができる最低のレベル)未満のことをいう。

調査結果の詳細は、「 二ツ塚処分場の水質等調査結果について(平成15年度第4四半期)」に登載