平成12年度 二ッ塚処分場の水質等調査結果について(概要)

平成12年度 二ッ塚処分場の水質等調査結果について(概要)

東京都三多摩地域廃棄物広域処分組合

平成12年度に二ッ塚処分場関連で水質や発生ガス等について調査を実施した、第1半期から第4四半期までの結果の概要である。
問題となるような結果はなく、安全性が改めて確認された。

水質の調査結果
1.浸出水原水(ごみの層を通った水)

12年度を通じては、鉛が4月(0.013mg/L、基準値は0.3mg/L)、7月(0.027mg/L)、11月(0.005mg/L)及び2月(0.018mg/L)に、極微量検出されたが、日の出町や地元自治会と約束している公害防止協定の基準値を大きく下回っていた。その他の有害性重金属等は検出されず、問題はなかった。

いずれの項目も、11年度の平均値と比べても大きな差はなかった。

2.下水道放流水(浸出水を処理した後、下水道に放流している水)

平成12年度を通じ、有害性重金属やPCBが検出されないとともに、窒素などは、いずれも下水道へ放流するための基準を十分満足した。

3.防災調整池(埋立地外の雨水を集め、一時的に貯めている防災用の池)

伐採などの影響により、生物化学的酸素要求量(BOD:生物分解可能な有機物の量をみる指標、基準は2mg/L)が5月(2.2mg/L)、9月(3.0mg/L)、12月(2.7mg/L)、1月(3.8mg/L)及び3月(4.0mg/L)に基準を超えた。また、溶存酸素が、6月(6.3mg/L)に基準(7.5mg/L以上)を下回った。しかし、有害性重金属などは検出されず、平均値で見ると水質汚濁に係る環境基準(ヤマメ等の水産生物水域に相当する厳しい水質環境基準を準用)を満足した。(水質は、年間平均値と環境基準を比較して評価する。)

また、3月に塩化物イオン濃度が、上昇する傾向がみられたが、これは、凍結防止剤として、秋川街道に散布された塩化カルシウムの影響と推定される。

4.地下水集排水管水(埋立地内の地下水)

平成12年度を通じ、カドミウムなどの有害性重金属は検出されず、地下水の水質環境基準を満足した。電気伝導率(この基準値はない。処分場からの影響をみる一つの指標としている。)の月間平均値では、埋立開始前や平成11年度と比較して、大きな変化はなかった。

地下集排水管の電気伝導率

5.モニタリング井戸(処分場内6本と処分場周辺の4本の井戸)

すべての井戸で、地下水の水質環境基準を満足した。

井戸No.10のみで、11月に微量の鉛(0.006mg/L、基準値は0.01mg/L)が検出されたが、地下水の水質環境基準を大きく下回っていた。また、フタル酸ジ-2-エチルヘキシルが、3月に井戸No.2(0.0018mg/L)及びNo.10で(0.0006mg/L)検出されたが、地下水の要監視項目としての指針値(0.06mg/L)を大きく下回っていた。それ以外の有害性重金属などは検出されなかった。

処分場内のモニタリング井戸6本の塩化物イオン(この基準値はない。処分場からの影響をみる一つの指標としている。)は、埋立開始前と同じレベルであり、これらの井戸には埋立による影響は見られない。平成10年3月以降、一部の井戸で塩化物イオンが上昇したのは、近くの秋川街道で使用した凍結防止剤の影響と考えられる。

二ツ塚処分場内モニタリング井戸の塩化物イオン濃度推移

大気等水質以外の調査結果
1.凝集沈殿汚泥溶出試験(浸出水処理施設で発生する汚泥の溶出試験)

有害性金属やPCB等では、12月にセレン(0.001mg/L、基準値は0.3mg/L)のみが極微量検出されたものの、その他の項目はいずれも検出されず、公害防止協定を満足した。

2.発生ガス(埋立地内のガス抜き管から採取したガス)及び悪臭調査

平成12年度を通じ、発生ガスでは、アンモニア及び一酸化炭素などが、悪臭物質では、アンモニアやアセトアルデヒドなどが検出されたが、公害防止協定の基準値を大きく下回っていた。

また、臭気濃度では敷地境界の2地点では、公害防止協定の基準値(10以下:臭い を感じない程度)を遵守した。

3.騒音・振動

機械振動による騒音はセミの声や水の音により基準値(50dB:静かな事務所が目安)を超過した時間帯があった。

道路交通による騒音は、埋立関係車両が通過しない早朝や夜間にも基準を超えていることから、処分場のみがこれに関与したものではない。

振動はいずれも基準(人が感じないレベル)以下であった。

4.土壌粒子飛散・大気質(二酸化いおう・一酸化炭素・浮遊粒子状物質・二酸化窒素)

土壌粒子飛散は7月の調査で一次的に基準を超えたが、埋立が行われていない土曜日曜を含み埋立てが行われていない時間帯であり処分場の影響とは考えにくい。2月の調査では、基準値内であった。

大気質については、浮遊粒子状物質(大気中の浮遊している0.01mm以下の微粒子で、ディーゼルエンジンから排出される。)が7月の調査でNo.3地点で一時的に基準を超えたが、埋立て終了後の時間帯であり、より処分場に近いNo.1、No.2地点で全く異常がないことから、処分場の影響とは考え難い。

振動はいずれも基準(人が感じないレベル)以下であった。

その他の項目は,いずれも大気の環境基準を下回るとともに、東京都の調査結果を下回った。

5.底質(川や池等の水底の泥などの堆積物)・土壌

底質については、溶出及び含有(銅)試験とも全ての項目で定量下限値未満であり公害防止協定の基準値を下回っていた。

土壌については、含有試験で銅が微量検出されたが、公害防止協定の基準値を大きく下回っていた。溶出試験では全ての項目で定量下限値未満であり公害防止協定の基準値を大きく下回っていた。

なお、検出されないとは、それぞれの化学物質ごとの定量下限値(数値を量ることができる最低のレベル)未満のことをいう。


以上、処分場内や周辺の水質、大気等の数多くの調査結果から、問題となるような結果はなく、周辺環境に影響を及ぼしていないことが確認された。

調査結果の詳細は、「二ッ塚処分場の水質等調査結果について(平成12年度第4四半期)」に登載。